選挙のシーズンになると、ニュースや新聞で必ず耳にする「一票の格差」という言葉。
「なんとなく不公平なことだとは知っているけれど、詳しくは説明できない」 「もし子どもに聞かれたら、どう答えたらいい?」
そんな疑問をお持ちの大人の方へ。
今回は、専門用語をなるべく使わず、「学校のクラス」に例えて、この問題の本質を直感的に解説します。
1. ひとことで言うと「1票の価値が違う」こと
選挙では、私たち有権者が1人1票を持っています。 「みんな1票なんだから、平等でしょ?」と思いますよね。
でも、「その1票が、結果にどれくらい影響するか(パワー)」が、住んでいる場所によって大きく違ってしまっているのです。これが「一票の格差」の正体です。

2. 学校のクラスに例えると超カンタン!
仕組みを理解するために、「学校のクラスでリーダー(代表)を1人選ぶ」場面を想像してみてください。
ここに2つのクラスがあります。
- A組:
10人 のクラス(過疎地域など) - B組:
20人 のクラス(都市部など)
どちらのクラスも、選べるリーダーは「1人」です。
- A組の人:
10人中の1票なので、あなたの1票は「10分の1」の重みがあります。 - B組の人:
20人中の1票なので、あなたの1票は「20分の1」の重みしかありません。
これを比べると、B組の人の1票は、A組の人に比べて「価値が半分」しかありません。
同じ1票を投じているのに、人口が多いB組の人たちの声は、A組に比べて届きにくい(当選させにくい)状態です。
「これって不公平じゃない?」と感じますよね。
これが実際の選挙でも起きているのです。

3. なぜ「違憲(憲法違反)」と言われるの?
「人が多いんだから、1票が軽くなるのは仕方ない」と思うかもしれません。
しかし、日本の最高ルールである日本国憲法(第14条)にはこう書かれています。
「すべての国民は、法の下に平等である」
裁判所は、「住んでいる場所が違うだけで、政治に参加する権利(投票の価値)に大きな差があるのは平等ではない」と考えています。
そのため、この格差が大きくなりすぎる(衆議院では2倍以上が目安)と、最高裁判所から「憲法違反の疑いがある(違憲状態)」と厳しく指摘されることになるのです。

4. どうやって解決しているの?
この不公平をなくすために、国は国勢調査のデータをもとに定期的なメンテナンスをしています。これを「区割り(くわり)の変更」といいます。
- 人口が増えた地域の議員定数を増やす(「10増10減」など)
- 選挙区の境界線を引き直して、1人あたりの人口バランスを整える
完全に「1対1(格差ゼロ)」にすることは技術的に難しいですが、なるべく公平になるように計算と調整が続けられています。

まとめ
- 一票の格差とは
住む場所によって、有権者の「声の大きさ」が違ってしまう問題。 - なぜ問題か
憲法が保障する「法の下の平等」に反してしまうから。 - 対策
人口に合わせて、選挙区や議員の数を調整している。
一票の格差は、私たちの「納得感」に関わる民主主義の根幹です。
次の選挙では、自分の住んでいる地域の「1票の重さ」がどうなっているか、少しだけ意識を向けてみてください。
【主な出典・根拠データ】
この記事は、以下の信頼できる情報源に基づき作成されています。
- 格差の定義と仕組み
- 総務省:
「選挙の仕組み – 投票と選挙区」(一次情報)
※選挙区ごとの議員1人当たりの有権者数の不均衡についての定義。
- 総務省:
- 憲法判断(違憲審査)
- 最高裁判所 大法廷判決
(平成23年3月23日、平成27年11月25日ほか多数)(一次情報)
※ 投票価値の平等は憲法14条の要請であるとの解釈。衆議院において「2倍」を超える格差は、合理的期間内の是正がなければ違憲となる可能性が高いという判断基準。
- 最高裁判所 大法廷判決
- 是正措置
- 衆議院議員選挙区画定審議会設置法 (一次情報)
※ 「アダムズ方式」等の計算式を用い、国勢調査の結果に基づいて区割りを改定する法的プロセス。 - アダムズ方式とは? :都道府県の人口をある数で割り、その値を「切り上げ」て議席数を算出する計算式です。従来より一票の格差を是正しやすく、衆院選の定数配分に使われます。
- 衆議院議員選挙区画定審議会設置法 (一次情報)
【注意点・例外】
- 参議院の特殊性:
参議院選挙においても「一票の格差」は問題となりますが、地域代表的な性格(都道府県単位)も考慮されるため、衆議院(人口比例原則が強い)とは議論の前提が少し異なります。「合区」などの対策が取られていますが、現在も議論が続いています。
投稿者プロフィール

- 代表
- 石川県出身。県立工業高校(デザイン学科)・デザイン専門学校を経て、金沢のデザイン事務所等で実績を積み2009年に独立。多くの広告や企業CIを手掛ける中、2000年頃より選挙広報の支援を開始。2022年5月に選挙専門のトーカク株式会社を設立し代表取締役に就任。写真撮影やドローン空撮が趣味
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