「若者は政治に関心がない」 「どうせ選挙に行かないから、高齢者向けに政策を訴えたほうが効率がいい」
そんな「定説」を信じている候補者は、これからの選挙で、大事な「変化の芽」を見落とすことになります。
実は先日知り合いの選挙プランナーの方が、こんな興味深いことを言っていました。
「最近、ショート動画などのSNS配信に対する反応や現場の様子を見ていると、『政治に興味がある』という若者が明らかに増えているんです」
肌感覚として、若者の意識は確実に変わり始めています。そして、その感覚は決して気のせいではありません。
総務省などの公式データを見ても、私たちが見落としている「ある真実」が数字として如実に表れているのです。
1. データで見る真実:18歳は「20代」より投票に行く
直近の国政選挙(2024年10月 衆院選など)のデータを紐解くと、その「変化の正体」が見えてきます。 それは、「18歳の投票率は、20代よりも圧倒的に高い」という事実です。
- 18歳の投票率:約49%前後(※高い!)
- 20歳代の投票率:約30%台前半(※低い...)
参照:第50回衆院選の抽出調査データ等の傾向より
なんと、18歳は20代よりも10ポイント以上も投票率が高いのです。 約半数の18歳が、すでに投票所に足を運んでいます。
「若者は行かない」と一括りにされがちですが、実は「入り口である10代」だけは、すでに行動を起こしているのです。

2. なぜ「10代」だけ高いのか?
理由は明確です。
彼らには、20代にはない「投票に行きやすい条件」が揃っているからです。
- 主権者教育の効果
高校で「選挙に行こう」と教育を受けている直後であり、意識が最も高い状態にあること。 - 物理的なハードルが低い
親と同居しているケースが多く、「投票所入場券」が確実に手元に届くこと。また、親と一緒に投票所へ行く習慣が残っていること。
しかし、ここには「魔の20歳転落」という厳しい現実もあります。
19歳、20歳と年齢が上がり、進学や就職で一人暮らしを始めると、住民票を移していない等の理由で、投票率がガクンと30%台まで落ち込むのです。

3. 政策の中身次第で、「入り口」世代は最強の味方になる
もちろん、全ての候補者がこの層を最優先すべきとは限りません。
選挙のターゲットは、あくまで候補者が「どんな政策を訴えるか」によって決まるからです。
しかし、もしあなたが以下のテーマを少しでも掲げているなら、この「18歳・19歳」を無視するのは大きな損失です。
- 教育支援や奨学金制度
- 労働環境の改善(アルバイト含む)
- 未来への投資や環境問題
彼らはまだ政治への諦めを知らず、純粋な関心を持っています。 そして何より、「20代の大人たちよりも、実際に投票所に足を運んでいる」のです。
「若者向けの政策を訴えても、どうせ投票に来ない」という言い訳は、もはや通用しません。 あなたの政策が未来志向であればあるほど、この「入り口世代」は、あなたの最強の味方になり得るポテンシャルを秘めています。
4. 10代に響く「3つの翻訳」
では、彼らに政策を届けるにはどうすればいいか? 今の10代・Z世代に響くキーワードは、「翻訳力」「裏側(リアリティ)」「参加感」の3つです。
(1) 政策を「自分ごとの言葉」に翻訳する
彼らは難しい言葉から逃げているのではありません。「自分との関係」が見えないだけです。
- NG:「経済対策でGDPを押し上げます」
- OK:「バイトの時給を確実に上げるルールを作ります」
- OK:「奨学金の返済が、将来の重荷にならない仕組みにします」
(2) 「完璧な先生」ではなく「挑戦する人間」を見せる
Z世代は、作り込まれた美辞麗句を「嘘くさい」と見抜きます。 街頭演説の準備風景、食事の様子、失敗談など、「裏側」をSNS(ショート動画など)で見せてください。
「未完成な部分」こそが、彼らの「応援したい」「支えたい」という推し活心理に火をつけます。

(3)「タイパ」と「冒頭の3秒」
彼らの主要な情報源はショート動画ですが、ここには厳しいルールがあります。
それは、「最初の3秒で結論がない動画は、拡散を止められる」ということです。
政治家がついやってしまう「みなさんこんにちは、〇〇です」という挨拶。
ショート動画の視聴者は、この挨拶をしている間に「つまらない」と判断し、スワイプしてしまいます。
そして、すぐにスワイプされた動画は「価値がない」と判断され、誰にもおすすめされなくなってしまうのです。
- NG: 「こんにちは、〇〇です。今日は子育て支援について…」(←ここでスワイプされます)
- OK: 「バイト代、上げたくないですか?(ドン!)」→「その方法を話します」
最初の3秒で「自分に関係がある!」と思わせるキャッチコピーとデザイン。
これがなければ、どんなに良い政策も誰の目にも留まりません。

結論:彼らは「お客様」ではなく「チーム」だ
彼らを「一票をくれるお客様」扱いしないでください。
SNSでコメントを返したり、アンケートで意見を聞くなどして、「一緒に社会を変えるチームの一員」としてリスペクトを持って接してください。
10代の約半数は、すでに投票所にいます。
あとは、彼らが「この人なら入れたい」と思える選択肢を、私たちが用意できるかどうか。
次の選挙、まずはこの「動き出した世代」と向き合うことも始めてみませんか?

【主な出典・根拠データ】
- 年代別投票率の推移(18歳が高い傾向の根拠)
総務省:国政選挙の年代別投票率の推移についてhttps://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/news/sonota/nendaibetu/
※第49回衆院選(18歳:51.14% > 20代:36.50%)、第26回参院選(18歳:35.42% > 20代:33.99%)など、過去のデータからも18歳が20代を上回る傾向が確認できます。 - 最新の選挙データ(第50回衆院選 2024.10) 各都道府県選挙管理委員会の発表データ(例:群馬県・青森県などの抽出調査)
※自治体により「年齢別投票者調」として詳細データが公表されており、18歳の投票率が40%後半〜50%近くで推移している実態が確認可能です。 - ショート動画のアルゴリズム(3秒ルールの根拠)
TikTok For Business : クリエイティブTips
※主要なショート動画プラットフォーム(TikTok, Instagram Reels, YouTube Shorts)において、冒頭数秒の視聴維持率(完全視聴率への寄与)がレコメンド機能に大きく影響することは、マーケティングの一般原則として知られています。
投稿者プロフィール

- 代表
- 石川県出身。県立工業高校(デザイン学科)・デザイン専門学校を経て、金沢のデザイン事務所等で実績を積み2009年に独立。多くの広告や企業CIを手掛ける中、2000年頃より選挙広報の支援を開始。2022年5月に選挙専門のトーカク株式会社を設立し代表取締役に就任。写真撮影やドローン空撮が趣味
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